座敷童子のもうひとりごと(仮)

座敷童子に憧れています。

夏🍉

「休日は外に出ろ」

 

じいちゃんの口癖だった。

 

家でゴロゴロするのが好きだと、女子小学生の間で流行ったプロフィール帳の趣味欄に書くほどなのに。

 

「雨でも休日だったら外に出なきゃダメ?」

 

雨だったら嫌だ。足も身体も全部濡れる。私の傘の差し方が悪いのか。でも濡れるんだ。濡れまくるんだ。

 

「雨だったら家にいろ」

 

いいのかよ。家にいていいのかよ。

でも確かに晴れの日くらいは外に出るか。ちゃんと外の空気を吸わないと腐ってしまいそうだ。

腐るで思い出したがキッチンに生ごみを放置しているせいかキッチンから納豆の匂いがして悲しい。

 

 

 

私はじいちゃんの言ったことを鵜呑みにして外に出ることにした。

でもまあ、明日からでいいか。

 

 

 

暑い。蒸し蒸しする。

 

これが地元の田舎ならまだしも空気が綺麗でもない東京でなぜやらねばならぬのか。

 

だいたい今日は休日ではない。営業中だ。ほぼ毎日外回りを行なっている。

店長は「業務に目的をもって取りかかれ」と言った。目的か。

 

…ダメだ、暑すぎて何も思いつかん。この仕事の目的ってなんだっけ。

 

 

 

今日も残業をした。しかし明日から休日だ。私の中では仕事を終えた今からが休日だ。今この瞬間から休日だ。帰ったらなにをしよう。

 

会社から出ると目の前のスーパーは閉まっていて、駅へと向かう人がポツリポツリといるだけで昼の喧騒はどこへやら、打って変わった別の印象を感じた。

そこに梅雨が明けたことを知らせるかのような涼やかな風が通る。

 

「…なるほどな。こりゃいいかもな」

 

社会人デビューということで短めに切った髪は風にさらわれて崩れた。しかし自然と笑顔になる。自分宛てに届いた空気を肺いっぱいに吸い込む。

 

会社用の夏のコーディネートを考えながら私は今日も帰路についた。

 

そういえばじいちゃんは別に昼に外に出ろなんて言ってなかったな。

正解は夜だったんだな。

 

夏がくる。

 

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なんて内容をぼーっと考えながら買い物に行った。外は涼しかったよ。気温がちょうどで気持ちよかった。

あとじいちゃんは死んでない。

 

ぼーっと歩くのも趣味です。楽しみませう!

 

明日はなにを書こうかな🐋